鼻粘膜焼灼術
鼻粘膜焼灼術とは?
 
鼻粘膜焼灼術とはよく一般的に鼻レーザーなどと呼ばれている手術の総称です。通常ではアレルギー剤の効果があまりなかったり、通年性のアレルギー鼻炎の症例が適応となります。当院では現在高周波メスを使用した鼻粘膜焼灼術を外来にとりいれるため準備しております。そこでここでは鼻の簡単な解剖からアレルギー性鼻炎の鼻の状態。実際の鼻粘膜焼灼術の写真などを提示したいと思います。
 
鼻の中はどうなっているの?
左に鼻腔の簡単な解剖図を書いてみました。鼻内には、おおざっぱに言うと図のように下鼻甲介と中鼻甲介という粘膜隆起があります。さてこの粘膜隆起は何の役に立っているのでしょう?なんか鼻の中に出っ張りがあって邪魔そうですね。これがなければもっと鼻の通りがよさそうな気もします。しかし、こんな粘膜隆起にもちゃんと役割があります。一般的には鼻から入ったほこり等の異物を肺に到達させないよう、この粘膜隆起に付着させ取り除く"フィルター"の役割りと空気が肺に入るまでに適度な温度と湿気を与える"ラジエーター"のような役割があります。なるほど無駄なように見えてちゃんと役割があるんですね。
アレルギー性鼻炎の鼻の状態とは?
 
鼻の解剖が分かってきたところで、じゃあアレルギー性鼻炎を含めて鼻炎の状態の鼻はどうなっているのでしょうか?左に鼻炎の状態の模式図を作成してみました。上の図と比較してみてください。どうでしょうか、なんとなく下鼻甲介や中鼻甲介が腫れている気がします。それに伴って空気の通りがとても悪そうですね。このように鼻炎の状態では下鼻甲介、中鼻甲介が腫脹しております。その中でもアレルギー性鼻炎は下鼻甲介等に付着した花粉などに対し、自己免疫が過剰に反応しこれ以上肺に入れないように粘膜を腫脹させているのです。また花粉を外に洗い流そうと鼻汁も過剰反応し多量に出てきます。このように鼻炎の状態は体の防御反応が過剰に反応してしまった状態と言えるでしょうか。
鼻粘膜焼灼術ではこの腫脹した下鼻甲介の表面をレーザーなどで焼灼し、花粉などの異物に対する過剰反応を鈍くさせ、なおかつ腫脹粘膜のボリュームを落とすのが目的となります。
 
鼻粘膜焼灼術の実際(表面麻酔) 左側鼻腔
さて、上記のことをふまえた上で実際の手順を見ていきましょう。まず左上の写真ですが通年性のアレルギーの患者さん(モニター)の左の鼻内所見です。みているだけでとても鼻がつまっている感じがしますね。下鼻甲介がとても腫れていてそれ以外何も確認できません。
鼻粘膜焼灼術の際にはまず鼻内に麻酔薬を含ませたガーゼを挿入し15分間の表面麻酔を行います。これにより痛みはほとんど感じなくなります。また粘膜を収縮させる効果もあるので処置を円滑に行うことが可能となります。左下の写真は15分後の状態です。下鼻甲介は収縮し視野が広がりました。奥に中鼻甲介が確認できるようになってきましたね。
鼻粘膜焼灼術の実際(焼灼) 左側鼻腔
 
表面麻酔にて視野の確保と鎮痛処置を施したのち今回は高周波メスにて焼灼しました。カメラを使用し下鼻甲介表面を満遍なく焼灼していきます。写真をみていただいたとおり健常な方であれば出血もほとんどありません。粘膜を焼灼しているのでやや焦げ臭いにおいはします。粘膜表面は変性しこれにより花粉などの異物に対する過剰反応が減弱されます。また焼灼後、数日は反応性に鼻閉、鼻汁の増加を認めますが次第に改善し粘膜のボリュームも低下していくことが期待できます。効果には個人差がありますが一定の期間をおいて2回3回と焼灼術を行うことによりさらにボリューム減少の効果が期待できます。
一般的には花粉症の一番ひどい時に行うよりは粘膜が比較的落ち着いている夏季〜秋季に行い、花粉症の時期に臨むほうが症状のコントロールにおいてもよいと考えられております。
 
術前、術後(1か月後)比較。。。追加報告
さて、焼灼術後より約1か月が経過しました。効果がはたしてあったのかどうか???検証してみましょう。前回は鼻内所見を可能な限り大きく表示したく左鼻を中心に説明しましたが、今回は両鼻の所見を提示します。
手術前所見(7月6日手術施行)と8月3日現在の所見を比較してみます。術前の下鼻甲介はとても腫脹し、粘膜より流出した鼻汁が少し貯留しているような印象もあります。また中鼻甲介などは下鼻甲介の腫脹が強く両側ともまったく確認できない状態です。対して術後1か月の所見を並べてみてみると下鼻甲介は明らかに収縮し、奥に中鼻甲介が確認できるようになりました。また鼻粘膜も手術前より乾燥して、鼻汁も減少しております。まだ多少痂疲は付着していますがこのくらいになると自覚的にはほとんど気にならないようです。今後追加焼灼をすることでさらに下鼻甲介のボリューム減少が期待できそうな印象です。今回は1回でも十分な効果を得ることができましたが、ご本人の自覚症状を観察しながら2回目を行うかどうか相談していく予定です。

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   としや耳鼻咽喉科クリニック  加藤寿弥